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UNIVERSE

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3rd Album

J-POP史に刻まれるテクノ・ポップの超大作、それともテクノ・ポップ史で普遍的に輝くJ-POPのフューチャリスティック・ポップか。
前作『EXWORLD』から1年半、自らの可能性を押し拡げ、劇的な変貌を遂げたIdiot Popが放つニュー・アルバム
異様にカラフルでファンタスティック、それでいてどこかストレンジなサウンドで特有のセンスを示しつつ、近年は禁断の多数決の初作『はじめにアイがあった』に収録の共作曲を通じて優れたメロディーメイカーとしての力量も印象付けてきたIdiot Pop。そんな彼の新作『UNIVERSE』は、過去作と比較して格段に開かれたムードに驚かされる仕上がりだ。
キッズ・ヴォイスが愛らしく戯れる高速ブレイクビーツをはじめ、イタロ・ディスコをベースとしたロマンティックなEDM、トラップ調のビートが走る眩惑的なチルウェイヴ、クラシカルなピアノがアクセントのドラマティックなクリック・ミニマル……と、自身のリスナー遍歴をコラージュ感覚で忍ばせるというIdiot Pop流儀のエレクトロニック・ミュージックも健在。だが、本作のカラーを決定付けているのは、全体の半数を占める歌モノだ。加えて、いままではラップトップに頼ってきたフレーズの多くが生演奏へと移行している。
 そこへ迎えられたゲストは4組(+市井の子供たち)。CUBISMO GRAFICOこと松田“CHABE”岳二はソウル・フレイヴァーをまぶした華やかなポップ・チューン“There We Go!!!”でナイーヴな歌声を披露し、電子音が煌めくシューゲイズ・ナンバー“HOPE”やフューチャリスティックなダンス・ポップ“コズミックダンサー×プラトニックスター”ではshoko eida(lines)のしなやかなヴォーカリゼーションが楽曲の持つスウィートネスを増長。さらには、エンディング間近に待ち受ける2曲――やまのいゆずるによるリリカルな歌とラップがノスタルジーを誘う“フリクション”と、スーダラ少年の素朴な歌唱が徐々にエモーションを爆発させる“君のことが知りたくて、君のことを夢にみる”が、Idiot Popがそもそも内包していたはずの、狂おしいほどのセンティメンタリズムを露にしている。
 今作の取材で本人が繰り返し口にしたのは、「みずからの理想とするポップ・ミュージックを、その時々のベストの精度で形にしたい」ということ。すべてを自身で完結してきた自主制作のスタイルから外部のレーベルに身を委ね、場面ごとに適したプレイヤーやスタッフを招き入れることにより、本作でのIdiot Popは表現の幅を大きく広げた。言葉とメロディーを触媒に、より多くのリスナーへリーチするであろう『UNIVERSE」。その音世界の真ん中には、これまでドットを模したキャラクターの背後に隠れていた彼自身が、しっかりと佇んでいる。
文/土田真弓(bounce)

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